島村英紀の裁判通信・その11
(2006年10月9日に配信)

(応援メッセージ part2。2006年8-9月


<編集部からの説明>
島村英紀に対し、もしくはメルマガ「裁判通信」編集部に対し、多くのメールをいただいています。

裁判を考える上で貴重なご意見もいただきました。感謝します。

今回は8月末から9月末までに届いた応援メッセージを紹介します。

すべて本物ですが(!)、個人名や職場がわかるような部分はカットしてあります。
<編集部>

<応援メッセージ>
4806/8/29
この10年ほどは、彼が上京する際に会って話をしたり、仲間を誘って飲んだりしていました。高校の同級生です。

昨年の11月末に仲間と一緒に飲んだときには心配の気配も見せなかったので、突然の逮捕・勾留には大変おどろきました。

その後、情報が新聞報道でしか入らなくて、どうしたらよいか分らずただ心配していました。

しばらくして彼の妹さんから弁護士のお名前を聞くことができたので、手紙で弁護士さんに問合せをしたのですが、なしのつぶてでした。同時に彼への伝言を預けました。それは届いたようで、ご家族からレスポンスがありました。

それ以降、ご家族を通じて裁判の様子などを知ることが出来るようになり、少し不安が解消されました。

そしてやっと保釈され、元気な姿を見ることができて仲間たちはほっとしています。

ところで、私達の高校の卒業生には権力の中枢に近い人物が多いのですが、私達が在学した当時の雰囲気はリベラルだったと思っています。

特に私達の代は、60年安保の年に高校を卒業しました。あの雰囲気は心の底のどこかに刷り込まれています。

「事実」を知れば、心情的に彼を支持する人たちは多いでしょう。また、よしんば彼が“犯罪者”であったとしても、友人達が彼を見捨てることはないと信じています。

いただいた「通信」を心配している友人達に広げて行きたいと思います。

4906/8/29
懐かしき名前の、酒の肴ぐらいに出そうな名前の旧学友諸君が裁判通信の編集部に三人も入って、しこしこと、陰湿な権力と戦う姿に、敬意を表します。

学者として、島村さんの言説が(僕には本当は何もわからないのですが)仮の権威を圧倒するまで、ゲンキにやってください。

5006/8/29
今日は夏休み明けの公判(第6回)ですね。 朝から緊張しております。

今回はたった15分毎の部品メーカー3社経理担当者の証人尋問ということで、父の希望もあり、私は東京に残っています。

さて、資料をお送りいただいてありがとうございます。また、皆さんの反響もとても心強く読ませていただきました。

なぜこのような事件になってしまったのか・・考えても仕方のない事ながら、そのことは常に私の頭に宿ってきます。そんなことを考えずに前向きに父を応援していきたいと思います。

皆さまもお体に何かを抱えながら、と聞き本当に心配します。また、本当に父のためにありがとうございます。

今回の事件で、人間の醜さも知ると同時に、皆さまからは人間の温かさも教えていただきました。

ベルゲン大の元教授セレボールさんも、ベルゲンの父の友人も、弁護士と私がベルゲン大学を訪れたときには、本当に優しく、強く励ましてくれました。

そのような方々にお会いできたことが、今回の事件で私が得た何よりも素晴らしいことではないかと思っています。

暑い日が続きますが、どうぞお体気をつけてください。

5106/8/29
同僚の教授K氏と話をしたところです。小学校時代6年間を親しく過ごした間柄だそうです。

島村氏の件についても私と見解を同じくするところ多く、深い関心を寄せています。そこで、帰宅してから、「通信」を転送することにしました。

K氏によると、島村氏が北大を退官するにあたって、K氏の私立大学に、「自然科学」担当の教授就任を打診したことがあったそうです。その節は、別の大学にすでに判を押してしまったということで実現の運びに至らなかったということでした。

本日の公判の結果、どのような法廷戦術をとるかわかりませんが、とりあえずは、今回の訴因に関して無罪を勝ちとることが先決ということでしょう。

「罠」への挑戦はその後のことですね。

5206/8/29
概略をみてもヒドイ話です。文科省の一部官僚と学会を牛耳る学者との結託による政治的な被害者なのでは。

地震研究者の学会はかなり激しい予算分捕りの暗闘がある、と聞いたことがあります。

5306/8/29
あれだけの内容を纏めるのはさぞ大変だったことでしょう。

今日の公判が良い結果であったことを願っています。

5406/8/30
本日、同級生O君から、「地震学者・島村英紀裁判通信」を回送してもらって、読みました。大変、参考になりました。

特に、地震計の絶えず部品交換を行っていて、長期間1個のモノでいないという特性や、村井芳夫助手の証言など。

5506/8/31
島村氏が保釈されて良かったですね。

それにしても長ぁーい勾留には驚きました。よほどのからくりと非常識が背後に存在するらしいことが、これで漸く判りました。

保釈を機に、テキの実力(ジェラシーとヒステリーと非常識の塊り)の程とダイナミズムをよーく値踏みされたうえで、作戦を凝らし、元気よく辛抱強く闘われる事を祈ります。

馬鹿と喧嘩をすると貰い馬鹿になるといいますが、これは真実で、今回の大ばか者との喧嘩は利口におやりになることが何よりも肝腎と思われます。

5606/9/5
島村さんの裁判の情報を送って頂き、有り難うございます。ようやく全部読ませて貰いました。

これまで裁判や支援活動がどうなっているのか、全く判らずにいましたので、ニュースは大変有り難いです。何も役に立たない者ですが、今後ともよろしく。

地震関係の仕事をしていたので、島村さんとはそれなりに知り合いです。

”権威”には楯突いて信念を通すが、学問には忠実で、一般の人にはやさしい彼が逮捕されたと聞いたときは、大変驚きました。

北大との間にトラブルがあったことは聞いていたのですが、国立極地研究所を辞められたので、正直なところ、落着したものと思っていました。

裁判は長期になるでしょうから、健康に注意し、勝利の日までがんばって欲しい。そのことが、より価値ある成果を生み出す”自由な研究”に貢献するものだと考えています。

公金を扱う上で、研究のために工夫したり融通しても、盗んだり個人的に使用していないのに、裁判にかけられたのでは、たまったものではありません。

今となっては、何が何でも無罪を勝ち取ってほしいものです。

じっとしていられなくて、島村さんの主張を少しの人にでも知らせるために、職場のミニコミ誌に、下記の記事を5月に投稿しました。

また、ご自宅に手紙を書いたのがきっかけで、保釈後、ご本人から連絡がありました。そして、8月中旬に東京で知人3人+本人で励ます会を開いたのですが、いろいろなことを明るく話してくれました。本当にいい方ですよね。

ある地震学者の裁判
知人のSさんの裁判が始まった。彼は元北大教授で、海底地震計を用いた地殻構造探査で著名な学者である 。

2月に「逮捕」とニュースを聞いた時はびっくりした。逮捕理由は、「大学の地震計5台などを売却したように装ってベルゲン大学から約2000万円をだまし取った。」ということである。

彼の資料によると、海底地震計は、外国の共同研究資金なども使って、秋葉原で調達した部品などから手作りし、観測に使用してきた。耐用年数が2?4年短い消耗品である。

相手側の要望があって、売渡した形になっているが、その金は次の観測調査に使用し、個人的目的に使っていない。

事前に大学事務担当者に相談したが、委任経理金として受け入れることは不可能という回答があり、個人口座に入れざるを得なかった。

彼は選ばれて国立研所長に転出したが、その直後に事件が表面化し、数ヶ月で辞職し社会的責任をとった。

本件は、相手の求めに応じて行った便法であり、個人の犯罪性は低い。

大学の告訴や警察の逮捕・起訴には恣意的な感じがする。

飛躍するが、本件などの影響で事務処理が必要以上に杓子定規にならないことを願っている。

5706/9/8
島村先生に個人的にお世話になったものです。裁判通信を大変興味深く拝見しました。

それにしても半年にわたる勾留とはひどい話です。私の友人で島村先生を知るものにも伝えたいと思います.今後ともよろしくお願いします。

5806/9/9
島村氏釈放の情報を読み、安心致しました。

10日間の出張から帰って、山盛りのメイルのなかからこの朗報を見つけたので、疲れが癒える思いでした。ご家族の安堵も伝わってきます。

しかし戦いはこれからですね

日本の裁判事件は長期化し、決着が付いたときには、仕掛け人はとっくに不在、仕掛けられた被告だけが、救済不可能なダメージを被る仕組みです。

この冤罪事件の早期決着を切望しています。

5906/9/12
先週末に第1報を受信しました。大変に重い出来事で、この2月以来、いえ、はじめてこれが報じられた昨年の3月以来、心を痛めてまいりました。

少し時間がかかるかもしれませんが、先ずは記事を全て読ませて頂きます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

6006/9/12
島村英紀裁判通信、有難うございました。中学、高校のサッカー部の仲間です。

無論、島村の"無罪”を信じていますが、まずは判事になったつもりで読むようにしています。今後もよろしくお願いします。

6106/9/21
地震の児童向け図書を作らせていただいてからのお付き合いです。

編集者の感想や願いに快く対応してもらえる著者で、若い編集者は勉強させてもらいました。

早く自由になることを願っています。私の責任で、担当した者にも読ませたいと思います。これからもよろしくお願いします。

6206/9/25
詳細なリポートで、皆様のご努力に頭が下がります。

既成のメディアでは裁判の経過がどうなっているのか判りません。貴重な報告だと思って読ませ頂いています。

これからも頑張って報道をお願い致します。

6306/9/25
札幌地裁での訴因に関して無罪を勝ち取ることが当面の目標ということなのでしょう。そのために何かできることがあればお申し出でください。

同僚のKさんには転送させていただきました。他に、もう一人のO教授にも転送しました。

彼自身、似たような危機に曝されたことがあり、幸い裁判は回避出来たとはいえ、他人事ではないと申し出た人です。信頼していい方です。

ご参考までに、彼からのメイルを添付ファイルで送ります。

6406/9/25
ファイルどうも有難うございました。

島村さんのことと、地震学会や国土交通省のことも詳しく知りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

島村さんのホームページも覗いてみましたが、興味のあることが沢山ありました。「地震予知批判」を是非読みたいと思います。

6506/9/26
「島村英紀裁判通信8」はよく整理された文章で、感心しながら拝読いたしました。

今日の第8回公判は「島村英紀本人への弁護側及び検察側の尋問」とのこと。大詰めですね。

よき友の支えに勇気を与えられて、毅然と対応されることでしょう。

6606/9/26
頂く通信は大変に重いもので、これを作成して下さる皆さまの思いの強さとご努力は計り知れないものと、感服し感謝しております。

また、本日が公判の日であることを再認識し、こちらも身が引き締まる思いです。では、今後ともよろしくお願い致します。

6706/9/26
いつもご連絡ありがとうございます。これを巡っても、色んなトラブルが起きているのですね。

誰が仕掛けたか、体制側の醜さが目立ちます。これからも支援してあげてください。司法の公正さを祈っています。

6806/9/26
地震計が資産か消耗品かということに関してですが、私も民間企業で測定装置などの開発を担当したことがあり、その経験から言うと、消耗品と呼ぶことには違和感があります。

民間企業だと“財布”は研究費になるのですが、形ある物の購入費用を材料費や経費として処理するには、1年以内に使いきるか、廃棄しなければなりません。

金額的には単価10万円以上を目安にしています。1年を越えて使う場合は前の年の費用から抜いて、次の年の費用に繰り入れます。

このような処理が出来るのはせいぜい2年間で、それ以上にわたって使う場合は、固定資産にします。

つまり、購入した形あるものを2年以上使いつづける場合は、その物を固定資産として会計処理しないと、税務署から違法として指摘されるのです。

消耗品として経費扱いした場合は購入費は損金として処理されるので、課税できないのですが、資産であれば課税できるからです。

一般的に消耗品と言うと、厳密には鉛筆、紙、薬品、ガスなどのような物ですが、判断するのが面倒なので、通常は単価10万円以上だけを資産としています。

ただし、研究費の場合だけは特別で、前述したように、廃棄したことが確かな場合だけは、金額にかかわらず経費として処理します。(廃棄の証拠を残します)

このような背景があるので、民間企業では、測定器を構成する部品一つ一つであっても、またそれらが壊れたり滅失したりする可能性があったとしても、使い捨てでないかぎり、それらを消耗品とは呼びません。

営利と、非営利との差なのでしょうか。会社と大学とは、事情が違うのでしょうね。

それゆえ、私は、
1.資産と言おうが消耗品と言おうが、島村さんの地震計はもともと売買できるようなものではない。

2.ノルウェー側が得た対価は「地震計の利用権」である。

3.売買契約はノルウェー側の要請に応えた形式的なものである。
のようにとらえています。

6906/9/26
無理無体なご学友の裁判ではありますが、ご尽力により明るい展望が開けることを祈っています。

7006/10/2
このところ、やっとすこし暇になったので、落ち着いて裁判通信7〜9を拝見しました。

保釈後、やや落ち着いた法廷闘争が続いていることがよく判りました。

又、反響集には、小生のメールが引用されていて、少しはお役に立てたかなという気持ちでうれしく思いました。

冒頭陳述は、事の経緯が平易に書いてあったので、よく理解できました。今回は特に意見はありませんが、これから徐々に良い方向へ進むような気がしています。

兎も角ご本人の態勢を立て直すことと、(権力をバックにした連中との知恵比べになりますから)弁護士団との作戦会議が益々重要になってくるものと思われます。

陰ながら応援しております。

島村英紀の裁判通信」の目次へ
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ノンフィクション・島村英紀の獄中記
海底地震計・海底地震観測とはどのようなものなのだろう
悪妻をもらうと哲学者になれるなら:海底地震学者は「哲学者」になれる
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