島村英紀の裁判通信・その24
(2006年7月17日に配信)

(北海道大学助手の証言。第5回公判。7月14日


<編集部からの説明>

地震学者・島村英紀裁判通信5を送ります。

今回は7月14日に開かれた第5回公判の傍聴記です。検察側証人として登場したのは、島村英紀を内部告発した張本人、北大・地震火山研究観測センター助手です。

この公判を傍聴して、すぐ書き送ってくれたのは、島村の北海道の友人です。新聞などにも情報が載ることがなかったので、緊急に送ります。
<編集部>

<裁判傍聴記>
証人氏名:村井芳夫 1965.9.20生 40歳

所属:大学院理学研究科・理学部 地震火山研究観測センター 海底地震研究分野 助手
研究分野:地震学、テクトニクス、地球惑星内部物理学
研究内容のキーワード:海底地震、断層破砕帯、地下亀裂、波動伝播、散乱 (以上、北海道大学HPより抜粋)
1998年助手として採用。以後島村教授のゼミや研究活動のほとんどについて、行動を共にする。

検察側の証人尋問 10:00 - 12:00

1 島村教授の研究実績や功績については、長年研究しているのだからそれなりのものはあるのだろうと思う。外国との共同研究の成果についてはゼミで聞いたことはあるが、話した内容は良く覚えていない。

2 2002年12月。ベルゲン大からの封書を(島村英紀の不在中に)他の教授立ち会いの下に開封した結果、小切手が入っていた。島村教授に連絡すると「私の方へ回しておいてくれ」とのことだった。地震計売却の疑いが生じ業者に問い合わせたところ、全て公金からの支出であった。つまり海底地震計の部品等は公金で購入したもので全て北大の物である事が判明した。

3 地震計の海外への搬出入については、地震計のナンバーやシリアルナンバーの確認を村井が主に実施しており、リストも作成してある。

4 つまり島村教授の犯罪の動かぬ証拠を握ったため、大学当局へ告発した。

といったことを証言した。事前に検察側と十分の打ち合わせをしてあったはずで、ここまでは、その線に沿った証言であった。

弁護側の反対尋問 13:30 - 14:30

1 地震計及びその部品の海外への搬出入の方法を聞き、研究機材の一時輸入ということで、関税が掛からないように結構旨いことやっていた現実が判明した(村井証人も片棒どころか責任者として関与していた筈である)。

2 売却したはずの98年の4台、99年の1台の地震計。それらはある時は北極海に、ある時はトルコの海に残置し、ベルゲン大と共同で、または日本独自で、ある時はベルゲン大抜きで他の国の研究グループと自由に使っていたこと。そして調子の悪い物は日本へ送り返して修理することもあり、ときには消失することもママある。

つまり、これは誰の物だとか、何処の国の物だとかを特定できるものではない。というこれまでの島村教授の主張を肉付けさせる証言であった。

3 「あなたは島村教授が好きですか」との問いに、しばし沈黙の後「アァ」とか「マア」とか返答。「嫌いなんですネ」との問いには「イイエ」と回答。深層部分が浮かび上がってきた。

4 弁護士が、島村グループ(村井証人自身の表現による)=地震予知否定派VS地震予知肯定派=◆◆教授派との確執の核心に触れたとき、検察官が「イギッ!」といきり立ち、弁護側もあまり深追いをしなかった。

5 弁護士が、「民事では北大もすでに島村英紀の権限を認めている」という趣旨のことを述べ、検事の反論もなかったが、蚊帳の外の傍聴席からは何のことやら意味不明。だがとても重要なことなのかも知れない。

今回の公判は思ったより盛り上がりのない、どちらかといえば退屈な感じが否めなかった。

もっと証人を痛ぶってもよかったのでは…と思ったりもしたが、きっと弁護側の計算の上のことと思いたい。期待をしていただけに、少々残念。

それにしても保釈・仮釈が遅い。学内の◆◆派どころではない、もっと大きな意思が働いているのだろうか。

島村さんの顔色が悪く、痩せてきたのが気になる。 何とかしなくてはと思いつつ裁判所を後にする。

<編集部から>
次回6回公判は8月29日 10:00開廷。機械メーカーの証人尋問。

次回公判は7月後半の予定が、証人の都合で8月29日に延期されたといいます。

それまでは保釈はないだろうとのこと。となると島村の拘置は210日を越えることになります。

裁判官の都合(担当裁判官の交代)で最初に1カ月延び、今度は証人の都合で1カ月延びる。しかもその間、保釈や接見は認めない。島村側の意見は発信させない。

これは島村と島村理論を抹殺するための仕組みのように思えます。

こんなことが許されるのでしょうか?

殺人事件でも強盗事件でもないのにこんな例があるのでしょうか? 弁護士の意見が聞きたいところです。

出廷した島村は、相変わらず逮捕時のままらしい季節外れのジャケットを着ていて、前より痩せて見えたとのこと。あと1月半、頑張れるでしょうか?

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島村英紀の家宅捜索・逮捕・連行劇
島村英紀の獄中記
海底地震計・海底地震観測とはどのようなものなのだろう
悪妻をもらうと哲学者になれるなら:海底地震学者は「哲学者」になれる
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島村英紀が書いた「もののあわれ」

誰も書かなかった北海道大学
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