三作目が直木賞を受賞した、京極夏彦さんの「百物語」シリーズ。今回はその中の第一作「巷説百物語」をご紹介します。表紙からすると、江戸時代の妖怪話を扱った本に一見見えますが、そこは一筋縄でいかない京極氏。裁けぬ悪を妖怪の仕業に見せかけた仕掛けで闇に葬り去る「御行の又一」一味の物語という意表を突いた展開は、まさに初期の必殺シリーズを彷彿させてくれます。しかも短編集のこの作品には「Who done it」「How done it」といったミステリー的な仕掛けが、それぞれの話にほどこされていて一粒で二度おいしい一級品のエンタテインメント作品に仕上がっています。必殺ファンの方には特にオススメです。
中野佳也子アナ
戦国武将、真田昌幸・幸村に仕え、神出鬼没の活躍をする 猿飛佐助と霧隠才蔵。ふたりの優れた妖術による戦い振りが随所に出てきます。敵の目の前を通っていても気付かれない隠業の術、多くの分身を作り出し攻撃する分身多現の術、四十里も離れた場所から密談の様子を心眼に映して聞き取る天眼通に天耳通など、その超人的な技に夢中になってしまいます。社会の荒波の中にいると「こんな忍術が使えたらいいのに・・・」と思う時があったりするのですが・・・・無理ですねぇ。
橘尚代アナ
考えてみると私が進める本はいつもフィクションです。それもジャンルで言えば『ミステリー』。毎回、同じような系統ばかりで申し訳ございません。今月も同様です。著者は1974年生まれだそうで、お若い方です。この人の作品は 始めて読んだのですが(といっても作品としてはまだ2作しかないらしいです)、なかなか面白い!!それは、ディテールが細かく物語の舞台となる設定をよく研究されていて、そこから得られる知識の豊富さは圧巻です。それが場合によると、ちょっとくどいと感じるかもしれませんが、読み応えは十分です。犯罪捜査のプロファイリングをする女性捜査官が主人公です。もちろん、下巻も合わせて読んでくださいね。
原田裕見子アナ
カウンターのお寿司屋さんに入る時は、少なからずキンチョーする(のは私だけだろうか?)。この本はタイトル通り東京・中野のお寿司屋さんのおかみさんが書いたあれこれで、ご主人の修行時代の話から仕入れや仕込みをどんな風にしているのか、上手な注文の仕方、残った魚の利用法、はたまた宴会サギにあった話まで女性らしいやさしさあふれる文章でつづられている。読んでいると、お寿司がいかに季節感あふれる粋な食べ物であるか、そして仕込みの大変さを思うと、決して高い食べ物ではないのかも・・・、と思えてきた。 先日たまたまお寿司屋さんに行く機会に恵まれたが、今まではちょっぴり怖い、と思っていたカウンターの向こう側に親しみが感じられ、板前さんとの会話も今までになく楽しむことができた。やはり「その道のプロ」の話は読むのも聞くのも面白い!
高木千亜紀アナ
ポルトガル語を勉強し始めてまもなく一ヶ月。硬くなった脳をやわらかくするのは時間がかかりますね(笑)受験の時はスラスラ覚えていた単語も、書いても書いてもなかなか暗記できず…。そんな私が、最近、カバンにしのばせている一冊がコレ。友達との待ち合わせの時、カフェで注文した品が届くまで…などなどちょっと時間が出来れば、ページを開いて、勉強!勉強!さぁ、今月も勉強頑張るぞ〜!!
川村綾アナ
久々に群さんの登場です。この本は以前から持っていたのですが、4月に仕事で韓国へ行くことになり思わず読み返し、再び楽しんだ次第です。 この他にも「東洋ごろごろ膝栗毛」という、群さんの紀行文があるのですが、こちらもオススメですよ。 旅行の参考になるのは勿論、思わず行きたくなるかも!? 韓国と言えば、食事(激辛)美容(エステ)買い物(多々あり)は外せませんよね〜 今回の私は、仕事ですから!!と言いつつ・・・ 海外へ行くこと事態が非日常的なこと、それに*ハプニング*がプラスされれば思い出が倍増すること間違いなしということで、私も、フムフム言いながら勉強(仕事)してきます!!
石田和外アナ
先日スポパラで紹介した本なのですが、ディレクターに「子供を一流スポーツ選手にしたいなら読んだ方がいいよ」といわれています。「初動負荷理論」はイチロー選手やジュビロの藤田選手も採り入れているトレーニング方法で、今までのトレーニングの常識を覆す革命的な理論と言われています。私も何度か話を聞いたのですが、なかなか簡単には理解できない部分がありました。しかしこの本では、写真なども使って非常にわかりやすく説明しているのでスポーツ選手を志す人にはかなり役立ちそうです。
伊地健治アナ
タイトルにひかれて思わず手にした一冊。静岡のメディアで働く以上、東海地震については常に勉強していなくてはいけないのですが、これまでとは違った切り口で、地震への知識を深めることが出来る、非常に興味深い本です。地震」という殆どメカニズムのわからない過去に予知できた事も無い現象に対して日本の政府や科学者達はこの四半世紀、何をやってきたのか、わかりやすくまとめてある他、難しい地震の情報をどのように読み解けば良いのかがよくわかりとても参考になりました。静岡県民には特に読んでいただきたい!
古川興二アナ
アラスカを中心に極北の動物達や自然そのものの表情を撮り続けた星野道夫さんの写真が絵葉書になった作品集です。大きなホッキョクグマが子供のように寝そべっていたり、タテゴトアザラシの愛嬌たっぷりの笑顔。可愛いだけでなく自然界で生きるたくましさも垣間見えます。映し出された動物と星野さんの距離の近さに驚きました。見ればきっと自然と一体となった星野さんの世界に惹き込まれる ことでしょう。